中部支部サマースタジオ2022の開催
100年前のグリーンインフラのランドスケープデザイン
グリーンインフラをはじめ、Nature-based Solution、Eco-DRRなど、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする概念が隆盛となっているが、概念の新しさとは裏腹に類似の試みは100年前から行われている。当時の国家的課題の1つははげ山化による土砂災害であり、都市や農地を取り巻くおける普遍的な問題であった。これに対して森林の再生(山地の砂防緑化工事):グリーンインフラによる克服が試みられた。なかでも愛知県は日本三大はげ山県の1つであり、都市近郊林の多くははげ山で土砂災害リスクが極めて高かった場所である。
犬山研究林@東京大学生態水文学研究所は、はげ山の再生の先駆的事例であり、100年前にはげ山であった都市近郊の山地に現在は森林が定着している。「日本近代砂防の祖・諸戸北郎博士の設計による渓間工事建造物群」として林業遺産にも選定されているように、技術史的視点から評価がされている。
はげ山には森林が再生され、インフラとして機能している。しかし、森林のそれぞれの機能は単独では強力ではないが、多くの機能を重複して発揮できるという森林の多面的機能という特質を踏まえれば、防災・減災といった以外の機能が発揮されることが望ましい。グリーンインフラという概念からしても、単なるインフラとしてではなく、地域振興や環境保全と融合させるものとして捉えた取組みが進められてる。
犬山研究林は観光都市犬山市の近郊に立地する都市近郊林であり、レクリエーション価値の高い場所にある。また、砂防植栽林以外にも人工林や外国産マツの実験林など異なる林相の森林もある。さらには、はげ山の再生は地域にとって重要な歴史でもある。
そこで2022年度中部サマースタジオでは、森林を体験しながら学びつつ、100年前に成立したグリーンインフラの新たな価値を持つ空間をランドスケープの視点から提案する。
募集人数:7名程度(原則として先着順)
応募フォーム
応募締切:2022年8月31日
日時:2022年9月13~14日
9月1週目に事前レクチャー(オンライン)を行う
場所:〒484-0094 愛知県犬山市塔野地大畔
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林生態水文学研究所犬山研究林
https://goo.gl/maps/W8cQBKDqbSCRcPZQ7
https://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/eri/geo/
費用:無料(ただし、生態水文学研究所の宿泊料(700円)及び食費の実費が必要)
※新型コロナウィルス感染症の状況により中止の可能性があります。