2022年12月3日 / 最終更新日時 : 2022年12月1日 wpchubu_adm 2022poster 伊那盆地におけるアカガエル科3種の分布状況と灌漑期、非灌漑期初期における環境選好性 “伊那盆地におけるアカガエル科3種の分布状況と灌漑期、非灌漑期初期における環境選好性” に対して6件のコメントがあります。 田島尚 より: 2022年12月4日 1:11 PM興味深い発表ありがとうございました。よろしければ以下についてご教授ください。 ・法面開始点距離とは何か ・種間的な競合はありそうか(経験則でも大丈夫です) ・中間個体とはトノサマ×ナゴヤダルマの交雑個体という解釈でよいかよろしくお願いします。返信 黒田遼 より: 2022年12月4日 2:06 PMご質問いただきありがとうございます。 ・法面開始点距離について 説明が足りず、申し訳ありません。開水路を流れる流水の水面から水路法面の傾斜が始まるまでの距離のことを表しています。ほとんどの場合で、水面₋法面開始点までの距離は垂直になっています。そのためこの距離が大きくなればなるほどカエル類(特に吸盤を持たないアカガエル科)にとっては水路内外の移動の障壁となり得ると考え、調査を行いました。・種間の競合関係について 2015年の研究において、ツチガエルが専食するアリ類に関して、ダルマガエルとトノサマガエルの幼個体を含めた3種で餌資源を取り合っている可能性が示唆されました。また、トノサマガエルとダルマガエルは非常に近縁な種であるため、餌資源に関して競合関係にあります。 体感といたしましてはあまり競合関係は感じられなかったのですが、出現割合の円グラフをまとめてみたところ、特定の一種が優占し、他の種の2倍以上の出現割合を示していた調査地が多かったことから、理由までは断定できませんが、何らかの競合関係にあると感じています。・中間個体について 田島さんの認識で間違いありません。補足説明を加えさせていただくと、中間個体F₁はメスのみ稔性を持ち(オスだったかもしれません。失念してしまいました。)、遺伝子浸透が起こってしまうため、問題となっています。調査の際には簡易的に、ダルマガエルの体型の特徴を持ちながら背中線(トノサマガエルの代表的な特徴)を持つ個体を中間個体としてカウントしました。長くまとまりのない文章になってしまって申し訳ありません。返信 田島尚 より: 2022年12月4日 10:16 PM黒田様各件についてご丁寧なご返信ありがとうございました。法面開始点距離について承知しました。 今後、図などあれば理解が容易と思います。ツチガエルがアリ類を専食するとのこと、初めて知りました。 カエルも移動性はさほど高くないように思いますので、各水路における 種の優占には競合のほか、そもそもの生息地の分断も関係しているかもしれませんね。ダルマ×トノサマの遺伝子浸透問題についてもご解説ありがとうございます。 よく理解できました。広範囲における蛙の夜間調査、大変お疲れ様でした。 簡単に得られるデータではないと存じます。 これから追い込みの時期と思いますが、頑張ってください。返信 本間政人 より: 2022年12月4日 11:09 AM大変興味深い発表ありがとうございました。 2点質問させてください。 ・水路の環境別の内訳について ・トノサマガエルの生育適地について ご教示いただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。返信 黒田遼 より: 2022年12月4日 1:33 PM水路調査の詳細な結果といたしましては以下の通りになります。 コンクリ水路① 14個体 水路長50m 2.80個体/10m 水路‐法面54㎝ コンクリ水路② 2個体 水路長50m 0.40個体/10m 32.5㎝ 石積み水路① 81個体 水路長56.8m 14.26個体/10m 6.1㎝ 石積み水路② 62個体 水路長50m 12.40個体/10m 14.9㎝ 石積み水路③ 121個体 水路長50m 24.20個体/10m 0.0㎝ 石積み水路④ 28個体 水路長50m 5.60個体/10m 54.8㎝ 土水路① 8個体 水路長10m 8.00個体/10m 0.0㎝ 土水路② 25個体 水路長28.3m 8.83個体/10m 0.0㎝土水路に関しては周囲に耕作が継続されている水田がほとんど存在しなかった点、水深が浅いため、越冬環境には不適であった可能性などが考えられると思われます。トノサマガエルの生息適地についてですが、トノサマガエルは跳躍力が他の3種よりも高く、生息を限定する要因は跳躍力の低い他の2種に比べて少ないと思います。確実に言えることといたしましては、本種は冬季の水田で越冬するため、冬季に湛水する水田は生息適地ではないということです。 トノサマガエルに関しては文献調査などが足りていない部分があり、今後より知見を深めていこうと思っております。返信 本間政人 より: 2022年12月8日 11:07 PM詳しくご回答いただきありがとうございました。 良く分かりました。 冬期の調査地の環境をみることも、面白いと思いますので、頑張ってください。返信コメントを残す コメントをキャンセルメールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目ですコメント ※名前 ※ メール ※ サイト 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。 Δ
興味深い発表ありがとうございました。
よろしければ以下についてご教授ください。
・法面開始点距離とは何か
・種間的な競合はありそうか(経験則でも大丈夫です)
・中間個体とはトノサマ×ナゴヤダルマの交雑個体という解釈でよいか
よろしくお願いします。
ご質問いただきありがとうございます。
・法面開始点距離について
説明が足りず、申し訳ありません。開水路を流れる流水の水面から水路法面の傾斜が始まるまでの距離のことを表しています。ほとんどの場合で、水面₋法面開始点までの距離は垂直になっています。そのためこの距離が大きくなればなるほどカエル類(特に吸盤を持たないアカガエル科)にとっては水路内外の移動の障壁となり得ると考え、調査を行いました。
・種間の競合関係について
2015年の研究において、ツチガエルが専食するアリ類に関して、ダルマガエルとトノサマガエルの幼個体を含めた3種で餌資源を取り合っている可能性が示唆されました。また、トノサマガエルとダルマガエルは非常に近縁な種であるため、餌資源に関して競合関係にあります。
体感といたしましてはあまり競合関係は感じられなかったのですが、出現割合の円グラフをまとめてみたところ、特定の一種が優占し、他の種の2倍以上の出現割合を示していた調査地が多かったことから、理由までは断定できませんが、何らかの競合関係にあると感じています。
・中間個体について
田島さんの認識で間違いありません。補足説明を加えさせていただくと、中間個体F₁はメスのみ稔性を持ち(オスだったかもしれません。失念してしまいました。)、遺伝子浸透が起こってしまうため、問題となっています。調査の際には簡易的に、ダルマガエルの体型の特徴を持ちながら背中線(トノサマガエルの代表的な特徴)を持つ個体を中間個体としてカウントしました。
長くまとまりのない文章になってしまって申し訳ありません。
黒田様
各件についてご丁寧なご返信ありがとうございました。
法面開始点距離について承知しました。
今後、図などあれば理解が容易と思います。
ツチガエルがアリ類を専食するとのこと、初めて知りました。
カエルも移動性はさほど高くないように思いますので、各水路における
種の優占には競合のほか、そもそもの生息地の分断も関係しているかもしれませんね。
ダルマ×トノサマの遺伝子浸透問題についてもご解説ありがとうございます。
よく理解できました。
広範囲における蛙の夜間調査、大変お疲れ様でした。
簡単に得られるデータではないと存じます。
これから追い込みの時期と思いますが、頑張ってください。
大変興味深い発表ありがとうございました。
2点質問させてください。
・水路の環境別の内訳について
・トノサマガエルの生育適地について
ご教示いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
水路調査の詳細な結果といたしましては以下の通りになります。
コンクリ水路① 14個体 水路長50m 2.80個体/10m 水路‐法面54㎝
コンクリ水路② 2個体 水路長50m 0.40個体/10m 32.5㎝
石積み水路① 81個体 水路長56.8m 14.26個体/10m 6.1㎝
石積み水路② 62個体 水路長50m 12.40個体/10m 14.9㎝
石積み水路③ 121個体 水路長50m 24.20個体/10m 0.0㎝
石積み水路④ 28個体 水路長50m 5.60個体/10m 54.8㎝
土水路① 8個体 水路長10m 8.00個体/10m 0.0㎝
土水路② 25個体 水路長28.3m 8.83個体/10m 0.0㎝
土水路に関しては周囲に耕作が継続されている水田がほとんど存在しなかった点、水深が浅いため、越冬環境には不適であった可能性などが考えられると思われます。
トノサマガエルの生息適地についてですが、トノサマガエルは跳躍力が他の3種よりも高く、生息を限定する要因は跳躍力の低い他の2種に比べて少ないと思います。確実に言えることといたしましては、本種は冬季の水田で越冬するため、冬季に湛水する水田は生息適地ではないということです。
トノサマガエルに関しては文献調査などが足りていない部分があり、今後より知見を深めていこうと思っております。
詳しくご回答いただきありがとうございました。
良く分かりました。
冬期の調査地の環境をみることも、面白いと思いますので、頑張ってください。