学生デザインワークショップ「サマースタジオ2019」を開催します。造園・ランドスケープに関心のある学生が集い、議論を深め、課題に対して提案をまとめ、対象地の将来像を描きます。東京大学演習林生態水文学研究所との共催にて、日本のやきもの揺籃の地・愛知県瀬戸市において演習林敷地を対象に、地域資源をつなぐインターフェイスとしてのデザインをテーマとしたワークショップを行います。合宿形式で行う濃密な交流や真剣な議論、計画・設計実務者の指導のもと行われる講評会は、今後の貴重な財産となるでしょう。興味のある方は、奮ってご応募ください。演習林らしい森林資源を生かしたイベントも組み込まれています。

対象地:東京大学演習林生態水文学研究所の苗畑跡地(含む国史跡小長曽陶器窯跡)

    愛知県瀬戸市北白坂町1-1

日程:2019年8月20日(火)~8月23日(金)(3泊4日)前泊も可

参加費用:3000円(宿泊、飲食費代など)

対象者:大学生、大学院生(学年・学部・居住地域は問わない)

※若手実務者の応募も歓迎します(部分参加は要相談)

応募フォーム

締切日:2019年7月17日

定員:15名(定員を超えた場合、先着順とします)

テーマ

「森」の「カタチ」を考える

 「森」と聞いてどんな風景を思い浮かべますか。「森」は不変のものではありません。古来よりさまざまな「カタチ」の「森」がわれわれとの関係にうみだされてきました。しかし、高度成長期以降その関係性は希薄となり、人口減少とともに「森」は新たな荒廃へと向かっています。一方、「環境」ということばが身近になって久しいものの、目指す空間像は未だ不明瞭のままです。
  そこで、今回は「森」について今一度考えなおすことからはじめてみることにします。これからの「森」には、どのような「カタチ」がふさわしいのか、「場の読み解き」を行いながら探ります。「場の読み解き」は建築・土木・アートに限らずすべての「カタチ」のはじまりの行為であり、「場の読み解き」からいかにロジックを構築し説明可能な「カタチ」へと昇華させていくかがキーになります。

 対象地の周囲には、窯業のまちであり、国指定史跡「小長曽陶器窯跡」や愛知高原国定公園、東海自然歩道など、資源となるポテンシャルがある中で、それらをいかに資源化するか、そのインターフェイスとしてのデザインを期待します。

スケジュール

1日目

リサーチフェイズ

午前:オリエンテーション

   対象地のバックヤード猿投山へリサーチハイキング

午後:対象地の解説

   リサーチ成果のミニプレゼン

夜間:交流を目的とした歓迎会を行う。

 

3日目

 

コンセプトの視覚化

午前:対象地のコンセプトを定め、デザインダイアグラムによる視覚化を行う。

午後:同上。グループごとに適宜エスキースを行う。

夜間:グループミニプレゼン

2日目

 

アイディエーション

午前:資源探査の個人サーベイ。位置情報画像のアーカイブアプリを使いつつ、対象地の資源を発見・記録し、対象地のポテンシャルを測る

午後:グループごとに適宜エスキースを行う。

夜間:グループミニプレゼンとチューターによる講評

 

 4日目

午前:発表資料の最終調整を行う

午後 講評会

   パースとダイアグラムを製作物としたプレゼン

 

 

 

最終講評者


Gen
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岡田憲久

​名古屋造形大学特任教授

信州大学農学部林学科造園研究室卒業。京都にて作庭修行後、名古屋にてランドスケープの設計事務所勤務を経て名古屋造形大学大学院教授、2016年より現職

1989年より景観設計室タブラ・ラサ主宰

著書「日本の庭ことはじめ」他

2009年日本庭園学会奨励賞
2011年日本造園学会賞『武田薬品研修所・全体景と石庭「九山八海の庭」』
2011年愛知県芸術文化選奨文化賞
2013年度都市公園コンクール国土交通大臣賞「東海市太田川駅前広場」

熊谷玄

 STGK Inc. 代表 / チーフデザイナー 

1973 年横浜生まれ。現代美術作家・崔在銀のアシスタント、EARTHSCAPE INC.を経て、2009 年 STGK Inc.(スタジオゲンクマガイ)設立。ランドスケープデザインを中心に人の暮らす風景のデザインを行なっている。主な仕事に「左近山みんなのにわ」、「みなまき みんなのひろば(南万騎が原駅前広場)」、「グランモール公園」、「have a Yokohama(横浜駅西口仮囲いプロジェクト)」など。

出村嘉史

​岐阜大学工学部准教授

専門は、都市形成史・景観計画。京都大学工学部、同大学院を経て、博士(工学)取得(2003)。京都大学助手・助教、英国シェフィールド大学客員研究員を経て現職(2008~)。2015年から毎年「岐阜の石積み学校」開催。2016年、岐阜市街地の古ビルをDIYでリノベーションして研究室「美殿町ラボ」をオープン。2017年から「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」取締役。2018年からmitonobase(若者の創業を支援する任意団体)代表、2019年から風景塾(土木・建築・造園のデザインシャレット)副代表。

チューター

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相田 明

​岐阜県立国際園芸アカデミー准教授

​東京農業大学大学院農学研究科博士後期課程修了、博士(造園学)。同大学造園科学科助手を経て、現在に至る。現代アート作品として、現地の土で作った日干しレンガが崩れ、埋土種子が発芽し、自然に還る『遷移/succession』(大地の芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ2009」出展)シリーズ、ほだ木で作った家具などが自然に還る『キノコ』シリーズがある。

大野暁彦​

名古屋市立大学専任講師

​​千葉大学大学院園芸学研究科博士後期課程修了、博士(農学)。中央大学理工学部助教を経て、現在に至る。2015年より設計事務所エスエフジーを立ち上げ、2018年より株式会社エスエフジー・ランドスケープアーキテクツ代表取締役。代表プロジェクトに、『太田市美術館・図書館』(グッドデザイン賞)、『リノア新松戸』(松戸景観優秀賞)、『新代田ポケットナーセリー』(国土交通大臣賞)など。著書に『日本の美しい庭園図鑑』など

水津 功

​愛知県立芸術大学教授

​東京芸術大学大学院修了後、大手企業で設計事務に従事した後、デザインスタジオwatermarkdesignを設立と同時に愛知県立芸術大学で教鞭をとる。瀬戸内国際芸術祭では古い民家をアートサイトに再生させ“MEGIHOUSE”をデザイン。現在は、自然と人口、過去と現在など、異なる要素間で互いを高め合うようなデザインや手法に関心を持つ。